【代参という供養のかたち】
〜想いを届ける、もうひとつの祈りのかたち〜
「代参(だいさん)」という言葉をご存じでしょうか?
これは本来参拝に行くべき人の代わりに、誰かが神社やお寺にお参りをすることを意味します。
現代ではあまり耳にしない言葉ですが、実はこの「代参」という風習は江戸時代からの長い歴史があります。
たとえば、当時の人々にとって伊勢神宮や善光寺などへの参拝は「一生に一度は行きたい」大イベントでした。
しかし、誰もが簡単に遠方まで出かけられるわけではありません。そんなとき、信頼できる人に“お札(ふだ)”や“願い”を託し、「自分の分までお参りしてきてほしい」とお願いする。それが「代参」です。
つまり、代参とは「人に祈りを委ねる」日本ならではの信仰文化なのです。
この考え方は、現代の「お墓参り代行」にも通じるものがあります。
「本当は自分で行きたいけど、遠くて行けない」「体が思うように動かない」
そんなとき、代わりに丁寧に手を合わせ、感謝の気持ちを届けてくれる人がいる——それは決して形だけのものではなく、**ご先祖様や故人への“心の橋渡し”**なのです。
重要なのは、「誰が行くか」ではなく、「どんな想いで祈るか」。
そうした柔軟な考え方が、代参という文化を今に残してくれています。
私たちもまた、代参の気持ちを胸に、お墓の清掃やご供養をお手伝いさせていただきます。
「想いを届ける」という本質を、これからの時代にも丁寧に伝えていきたいと思っています。