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【香西歴史探訪 Vol.6】


稲倉神社と平賀神楽 〜伝統芸能に息づく信仰のかたち〜

■ 農と祭りの神、稲倉神社

香西町平賀の一角に鎮座する「稲倉神社(いなくらじんじゃ)」は、五穀豊穣・農業守護の神として信仰されてきた神社です。
その創建は不詳ながら、古くから平賀の里を見守ってきたと伝えられ、氏神として地域住民の信仰を集めてきました。

祭神は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)で、稲荷神としても親しまれる神様。
この地では“お稲荷さん”ではなく、あえて「稲倉(いなくら)」と呼ぶあたりに、土地ごとの文化と神名の深い関わりが感じられます。


■ 平賀神楽:今に残る奉納芸能

この稲倉神社の特徴は、なんといっても秋の例大祭で奉納される平賀神楽(ひらがかぐら)です。
香西の地に伝わる伝統芸能で、氏子たちによって舞台が組まれ、神前にて厳かに披露される様子はまさに「神と人とが交わる儀式」。

その起源は江戸時代とも言われ、獅子舞や面をつけた舞、笛と太鼓のリズムで舞い踊る様子は、観る者を日常から非日常へと誘います。


■ 地域で守り継ぐ“舞”の力

平賀神楽は、かつて一時途絶えかけたこともありましたが、地元の保存会や青年団の尽力によって復活。
子どもたちにも継承され、「神楽のある町」として今も地域の誇りとなっています。

奉納舞の内容は、天岩戸神話や素戔嗚尊のヤマタノオロチ退治など、日本神話を題材にしたものが多く、神社の前で演じられるそれらの舞には、古代の信仰と芸能が息づいています。


■ 神楽の灯を未来へ

平賀神楽は単なる芸能ではなく、地域の結びつきと信仰の象徴
人が神に祈りを捧げるという営みを、舞と音楽という“かたち”で表現するこの伝統は、現代においても非常に貴重です。

この神社と神楽の文化は、香西の“静かな熱”を語る上で欠かせない存在といえるでしょう。


📍ご案内メモ

  • 所在地:高松市香西南町・平賀地区
  • 開催時期:秋(例年10月頃)
  • アクセス:JR香西駅より車で約10分
  • 見どころ:神楽舞台、奉納行事、稲荷型の拝殿

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